重金属浄化技術

不溶化工法Insolubilizing method

汚染土壌の掘削を行わずに原位置で実施する措置 汚染土壌の掘削を伴い、その現場(サイト)内で実施する措置 汚染土壌の掘削を伴い、汚染土壌処理施設等への場外搬出を行う措置

重金属汚染土壌の不溶化技術

不溶化工法とは、重金属を含んだ汚染土壌に不溶化材を混合することで、有害物質の地下水への溶出を防止する技術です。
重金属類の汚染全般に適用でき、安全で無害な薬剤を使用します。不溶化材は、事前に現地の汚染土壌を使用したトリータビリティー試験を実施し、不溶化材を選定します。

適用汚染物質

重金属浄化技術の不溶化工法は、第二種特定有害物質全てに対応が可能です。

第二種特定有害物質(重金属等)
カドミウム及びその化合物
六価クロム化合物
シアン化合物
水銀及びその化合物
セレン及びその化合物
鉛及びその化合物
砒素及びその化合物
ふっ素及びその化合物
ほう素及びその化合物

不溶化工法の特徴

特徴1
掘削除去と比較しても安価で経済的です。
特徴2
大量の汚染土壌の処理が可能です。
特徴3
施工期間が短期間で完了します。
特徴4
搬出車両による騒音、振動、粉じんによる周辺環境へのリスクが少ないです。

不溶化反応のメカニズム

不溶化反応の原理として主に物理吸着と化学吸着があります。

物理吸着(外界錯体生成反応)

物理吸着とはファンデルワールス力や表面と溶質が反対の電荷をもつ場合に生じる静電吸着のような弱い力による結合のことです。主に水酸化物や酸化物の結晶端面に生じた表面ヒドロキシル基がプロトン付加・乖離することによって吸着媒体となります。

物理吸着(外界錯体生成反応): 物理 吸着 不溶化 汚染 土壌 ファンデルワールス力 水酸化物 酸化物 結晶 吸着媒体 不溶化工法

化学吸着(内界錯体生成反応)

化学吸着とは溶質と固体表面上の原子との間で形成される化学的な強い結合のことです。共存イオンの影響が少なく、吸着される物質の一部が固体内部に吸収されるため固相に安定に維持されます。

化学吸着(内界錯体生成反応):科学 吸着 不溶化 汚染 土壌 原子 結合 イオン 不溶化工法

室内配合試験

不溶化材には主に水酸化物系、硫化物系、セメント系材料などがありますが、汚染物質の種類や土質条件によって不溶化効果は大きく変化します。
予め室内配合試験を行うことで不溶化効果を確認し、現地の土質や施工条件に最適な不溶化材と添加量を選定致します。

室内配合試験: 不溶化 不溶化材 汚染 土壌 水酸化物 硫化物 セメント 不溶化工法

不溶化材の例
対象物質 不溶化材(例)
Pb Fe(Ⅱ,Ⅲ)塩,Na2S、Mg系
Cd
Hg Na2S
Cr(Ⅵ) Fe(Ⅱ)塩、Mg系
CN Fe(Ⅱ)塩
As Fe(Ⅲ)塩、Mg系
Se Fe(Ⅱ,Ⅲ)塩
F Ca系、Mg系
B セメント系
 

【参考文献】
粘土によるイオン吸着モデリング,福士圭介,粘土科学,第47巻,第2号,93-103(2008)

施工方法

原位置

深層混合処理工法により、不溶化材料を原位置で汚染土壌と均質に混合します。狭隘な場所でも施工可能な超小型機械など、地盤や現場状況に応じた様々な施工機械を用意しています。

関連工法

オンサイト(不溶化埋め戻し)

掘削した汚染土壌を現地で自走土質改質機を用いて不溶化材料を混合し、埋め戻しを行います。