土壌還元法Soil reduction method
鉄粉と微生物を用いたハイブリット型の分解技術
土壌還元法は鉄系還元剤による化学的反応と微生物による生物的反応を複合化させた弊社独自の原位置浄化技術です。汚染土壌・地下水に特殊薬剤(特殊鉄粉、オリジナル栄養剤など)を混練又は注入することで脱塩素菌を活性化させ、嫌気性条件下で微生物並びに還元剤により汚染物質を無害な物質まで浄化します。適用に当たっては、事前に室内試験として、現地の汚染土壌・地下水を用いた室内試験(遺伝子診断・阻害性評価試験・分解試験)を実施します。
適用汚染物質 |
---|
ベンゼンを除く揮発性有機化合物VOCs 全般(第一種特定有害物質)に対して有効に機能します。また、揮発性有機化合物の複合汚染にも対応が可能です。
|
土壌還元法の特徴
- 特徴1
- 生物処理では対応不可である高濃度汚染も短期間で浄化可能
- 特徴2
- 嫌気性条件下で分解速度が低下するシス-1,2-ジクロロエチレン(cis-DCE), クロロエチレン(CE)も確実に浄化
- 特徴3
- 汚染レベルに応じて適切な薬剤添加設計を行うことで低コスト化
- 特徴4
- 添加する薬剤は全て自然界に広く存在する物質であり、現地土壌中の微生物を利用するため安全
土壌還元法の原理
特殊薬剤を汚染区域に混練又は注入し、土壌中の偏性嫌気性微生物の活性化と鉄系還元剤との還元反応により有機塩素化合物を脱塩素化させ、無害な物質まで還元致します。還元剤が酸化されることで脱塩素菌が繁殖しやすい環境が生まれ、微生物によって鉄系還元剤の反応性低下防止を期待できます。これらの相乗作用によって環境基準未満の濃度まで浄化することが可能です。
主な分解経路
嫌気性条件下での鉄系還元剤による還元反応または活性化した脱塩素菌により徐々にVOCsの塩素原子が水素原子に置換され、最終的には無害なエチレンやエタンを生成します。
施工手順
現場の影響因子(地質水文学的因子・微生物学的因子・化学的因子)についての土壌・地下水調査やトリータビリティー試験を実施し、最適な薬剤添加量や施工方法を設計した後で浄化工事を行います。
土壌・地下水調査から浄化工事完了までの流れ
施工方法のバリエーション
土壌還元法の施工方法は、混練法、注入法のふたつに分類されます。
混練法(水平混合型、縦型攪拌型)
特徴
- 土壌(飽和・不飽和)、地下水ともに浄化可能です
- シルト・粘土層の浄化も対応しています
- 高濃度汚染の浄化も可能です
水平攪拌型
主に中層-深層土壌及び地下水に対して適用するもので、水平攪拌翼は深度方向に薬剤の変更可能でその汚染箇所に適した薬剤の添加を行ことができます。施工現場に応じて2軸、単軸、超小型のCI-CMC施工機を選定し、建設物などの障害で攪拌処理が難しい場合には高圧噴射攪拌を併用し、密着施工も行うことが可能です。
縦型攪拌型
主に浅層から中層の汚染土壌や地下水に対して適用し、汚染分布が表層から中層まで一様に広がっている場合に水平攪拌型に比べて低コストで薬剤を添加混合することが可能です。
注入法
透水性の良い帯水層の地下水汚染対策に適用するもので、各帯水層に設置した注入井戸から特殊薬剤を地中に注入拡散させることにより、浄化対象物質の濃度を環境基準値以下まで低減します。
特徴
- 稼働中工場内での浄化が可能です
- 透水性のよい帯水層の土壌・地下水に対応しています
- 特に低濃度汚染に対して有効に作用します
浄化効果の例
汚染土壌に注入混合してから、徐々にVOCsの還元反応が進行して約60~100日の養生でVOCsの土壌溶出量が環境基準値を下回ります。生物的な反応も併用しているため、微生物が増殖・活性化している期間はリバウンドにも対応可能となっております。